【ちょっといい話】震災後、阪急電車の運転手が、大きく「出発進行!」と声を上げた・・・
阪神・淡路大地震のあと、
阪急電車の復旧を沿線の人々は待ち望んでいた。
うちもその一軒。
夜を徹して行われる作業、
騒音や振動をこらえてくださいと、
電鉄会社の人が頭を下げに来た。
「何を言ってるんだ?
我慢するに決まってるじゃないか。
それよりも一刻も早い復旧を。」
うちも含めて、沿線の人々はみなそう言って、
電鉄会社の人を励ました。
阪急は国の補助も受けず、
少しづつ復旧・部分開業していった。
そして最後に残された西宮北口~夙川間の高架部分の再開によって、
ついに神戸本線は全通した。
再開の日に、もちろん漏れも乗りに行った。
神戸で逝った友のもとへ行くために。
運転台の後ろは人だかりだった。
みな静かに鉄道の再開の喜びをかみ締めているようすだった。
夙川を渡るそのとき、
川の土手に近所の幼稚園の園児たちが
立ち並んでいるのが目に飛び込んできた。
手書きの横断幕を持って・・・。
「あ り が と う は ん き ゅ う で ん し ゃ」
運転手が普段ならしないはずのそこで敬礼をした。
そして大きく「出発進行!」と声を上げた。
その声は涙声になっていた。漏れも泣けた。
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